とまべっちーの考え事

ホラクラシー組織の学習塾を作ってみたい。

宇野重規『保守主義とは何か』  

表題の本を読んで印象に残った箇所を引用していく。

かつて、第二次世界大戦で英国を主導した首相のウィンストン・チャーチルは、次のような言葉を口にしたという。「20歳のときにリベラルでないなら、情熱が足りない。40歳のときに保守主義者でないなら、思慮が足りない。」

これは格言だと思った。私自身も20代のときはかなりラディカルな理想主義者だったが、40歳近くになってだいぶ保守化している。これは一般的な傾向なのだろう。保守論客にも若いころはリベラルだった人が多いという。ところが近年では「若者の右傾化」と言われており、また別の現象が見られる。

バークは、このようなフランス革命のなかに自己蔑視をみてとった。自らの過去や父祖の行ないに対する敬意をもつことで、人は自己への尊敬を育む。これに対し、フランス革命は自らの過去と訣別した上で、抽象的な原理に基づいて社会を作り直そうとしている。このことは自尊の精神を否定し、さらには「自己を尊重する習慣を教え込まれていない人間」に権力を与えることにつながりかねない。

過去を切り捨てようとする人は自己蔑視の人だ。自己蔑視の人に権力は任せられない。フランス革命に反対したバークの保守思想とはそのようなものだった。

イギリスには小説家出身の政治家が多いという。「文学や評論を読むことで得られたメンタリティや思考法をもって、政治や社会と向き合う」という回路が広く認められている。これをイギリスでは「コモン・センスの哲学」と呼ぶ。「コモン・センス」とはふつう「常識」と訳すが、「共通感覚」とも訳せる。イギリスには「共通感覚」の伝統というようなものがある。それは芸術や文化によって獲得される感覚だという。
また、英国議会をユーモアの感覚で特徴づけることもできる。「ユーモアの正体は、話し相手の立場、或いは共通感覚の鏡に自分を写して、その立場からもう一度自分を振り返るところに生まれるものです。」

福田恒存によれば、保守とはまず態度の問題であって、イデオロギーの問題ではない。そもそもイデオロギーとして先行したのは革新主義である。現状に強い不満をもつ人間が、一定の世界観に基づいて変革を主張する。このような革新主義に対し、反発を覚える自己を認識したものが保守派となる。すなわち、保守は必ず革新に遅れて登場するというのである。
そのような保守派はイデオロギーを必要としない。自らの生活感情に根ざして必要な改革を行なえばいいのであり、むしろ「保守主義」なる大義名分をかざして自らを正当化しようとすれば「反動」となってしまう。(中略)福田は、保守とは過去を尊重する一つの生き方であり、理屈を振りかざして相手を説得する必要はないと説いたのである。


これで保守派というものがどういうものか分かった。一貫したイデオロギーがあるわけではないので保守主義というより保守派と呼んだ方がしっくりとする。それは革新主義に対する反発として定義される。その時代々々の革新主義に対して対抗言論を張るのが保守派なので、理論的一貫性はない。

宇野いわく、近代日本には一貫した伝統がないという。だから保守派といっても何を保守するのかはっきりしない。だから、だらだらと現状維持を望む人たちが保守派と呼ばれる。あるいは、保守すべき伝統を捏造する百田尚樹のような連中が跋扈する事態になっている。日本人は歴史に誠実に向き合うことが必要だと宇野は主張している。

カテゴリ: 本の紹介

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コメント

なんとなく。

私は自分の政治思想の位置がよくわかりません。

保守では、弱っている人たちを救うのはちょっと難しい・・・
それを放置していると、それが社会の崩壊の原因になるので、保守を取れない。

リベラルでは、どうもいま生きている人の生活を守るてのが脆弱。理想を追ってもそれだけでも多くの人たちを食わせれない。


なんかそういうのを、捨て去って、「人の生活を守っていく」ってのが、わたしのスタンスかな・・


理想も、リアリズムも、万民を食わせる道具で方法・・てかな・・・。

それくらいしか・・・あの賢い人たちに大層なことはいえません・・。


まあ大したことないですが、そんな感じです。

ではまた。

遍照飛龍 #RFphBmaY | URL
2018/11/18 19:39 | edit

リベラルじゃ食えないというのは本当にそうですよね。かつてリベラルの理想が共有されていた時代は、中間層の経済的余裕があってこそだったのでしょう。リベラルは経済政策が弱い。
そういう問題意識から「そろそろ左派の経済を語ろう」という本が今年出ました。

『そろそろ左派は<経済>を語ろう——レフト3.0の政治経済学』の序文
http://usedkenchan.blog63.fc2.com/blog-entry-856.html

ブレイディみかこ 「左翼は反緊縮を訴えるべし」
http://usedkenchan.blog63.fc2.com/blog-entry-870.html

ここで言われているのは、大衆を食わせるためにガンガン金融緩和を続けるべきだという主張です。お行儀の良いインテリのイメージとはだいぶ違います。この問題意識は良いと思うんですよね。リベラルはもっと生活について語らなければ。

tomabetchy #WSsdzqd. | URL
2018/11/18 20:46 | edit

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